佐藤万理の魅力

佐藤万理という女優がいた。
「いた」という過去形であるかぎり、現在は女優ではなく、主婦業の様である。

女優としての彼女に関してはほとんど記述が無いので書いてみた。

結論から言うと、あの様に実力があり美しい女優が世間的に評価されなかったのは非常に残念である。

子供の頃はヒロイン役もあったが、本当に脂ののりきった時期にほとんどが端役だけの出演がであったのが惜しまれる。
時代劇に多く出演していたものの、ちょいの間の出演がほとんどであった。

時々、例えば、影の軍団II 第3話「恐怖!いけにえの館」(1981年、KTV / 東映)で「千絵」役を演じており、彼女の存在感が光るものとなっているが、その他の作品ではちょっと顔見せ程度の役がほとんどであった。なぜあの様に女優としての実力もあり非常に美しい女優が当時評価されなかったのか理解に苦しむ。

彼女の履歴を見ると特に演劇学校に行った記録等は無い。
しかし、前進座の出身である。前進座は、創立80年の歌舞伎劇団であり、創立から歌舞伎役者が多く加わり、武蔵野市の吉祥寺南町の広大に敷地に劇場と団員の居住があった。彼女もそこで生まれそこに住んでいたわけで、厳しい演劇学校の中に寝起きしていた様なものであった。母も女優のいまむら いづみであり、その意味では生まれながらの女優であった。多くの有名な芸能人を世に出してきた劇団でもあるので彼らの中で育ってきた。
故に、子供の頃から子役としてのテレビや映画への出演も多かった。

映画「人間と戦争」(第一部 1970)では、子供の頃の伍代順子役で出演している。ちなみに彼女が大人になった時の女優は、吉永小百合がつとめている。

これは1970年、彼女が10歳の時であったと思われる。
その2年後の1972年に映画「どぶ川学級」に出演している。

子供の成長とは早いもので2年でこんなに変わってしまうのである。
この映画の出演者でも美少女ぶりが際立っていた存在である。

彼女の誕生日は1月8日であり、早生まれであるので中学2年の頃と思われる。
この出演以後、記録では1977年まで映画やドラマへの出演は無い。
高校の学業を重視した結果と思われる。
1978年以後は、女優業に邁進しはじめる。特に、ポーラテレビ小説  おりん(1979年、TBS)ではヒロインを演じており、1980年代は、当時のテレビのドラマの時代劇にはほとんど出演していると言っても過言では無い。
しかし、記録では1988年のドラマ出演以後は、ぱったりと女優としての出演がなくなる。
具体的な時期は不明だが、以後は「主婦業」となっている。

学業終了後のデビューの「おりん」でヒロインを得ているが、以後は出演数は多いものの端役が多かったのも事実で有り、彼女の演技力や美しさを引き出す作品が無かったのが残念である。

1987年の「アリエスの乙女たち 第2、3、12話」(大映テレビ)では、同僚の男子教師を教え子と奪い合う女性教師「 来栖順子」を演じている。

役柄だから致し方ないのだが、彼女の演技力も含めての魅力が全くない出演であった。
これは、監督の問題で有り、彼女の魅力を知っている監督等がいなかったのである。
それまで多くは、「時代劇専門の端役」の女優としてのレッテルが自然に世間にすり込まれていった結果でもあったと思われる。

さて、上記の「アリエスの乙女たち 」と同じ年代、1987年に撮影された外国映画に出演している事は、一般にはほとんど知られていない。
アメリカ映画で、主演はアメリカ人である。佐藤万理は主役では無いが、彼女の存在が無ければこの映画は成立しないほど、彼女の演技力の高さと美しさをアピールしている作品である。

“Captive Hearts”(1987) は、アメリカとカナダの合作で、主演は、Chris Makepeace、アメリカの日本人役者として有名な、Pat Moritaも出演し、ディレクターが Paul Almond である。この作品では、佐藤万理の演技力が十二分に発揮されており、ディレクターの慧眼に驚かされると同時に、当時の日本人のディレクターでは見えなかった彼女の美しさを正当に評価しそれを映画に反映している。

日本ではほとんど知られていないのは、内容が基本的に日本上空で爆撃機からパラシュートで脱出し、日本の雪国の山中の村で生活した、という戦争物であった事と当時の一般的なメディアがVHSであり、その後、DVDやBD等のメディアに変換されて販売される事がほとんど無かったため、特に我が国では知られていないのである。

しかし、その作品を鑑賞すると、いかに佐藤万理という女優がその演技力と美貌を有しているかが分かる作品である。

彼女の様に美しく演技力もある女優を埋もれさせてしまっている「日本の芸能界」というガラパゴス的存在がいかに陳腐なものかが間接的に理解出来よう。

彼女の様な女優がもっと多くの映画のヒロインを得て欲しかったし、また写真集等も残して欲しかった。

 

 

2 Comments

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つきみreply
2018年10月18日 at 5:08 午後

古いテレビドラマを見ると、ハッとするほどきれいな女優を見掛ける事があります。この女優さんは今頃どういう作品に出ているのか、舞台なのか消息を知りたくなります。佐藤万理さんを取り上げて下さって有り難うございます。
中堅な年頃ですし、例えば主役から二番手くらいでのご活躍をしていてもいい筈が残念でなりません。

administratorreply
2018年11月27日 at 11:07 午後
– In reply to: つきみ

コメントありがとうございます。

一昔前の女優さんは、当たり前の事ですが、現在活躍しておられる方々とは違ったオーラをお持ちの方が多い様に感じます。オーラという言葉に語弊があると思いますので、「雰囲気」と言い換えても良いとおもいますが、佐藤万理さんも女優以前に独特の雰囲気のある方だと感じております。

インドで最近脚光をあびはじめているボリウッドの女優達にあったことがあります。もちろん美しいです。でも、例えばインドには、その女優達よりももっと美しい女性がおります。例えばバラモン族のお嬢様だったりしますが、もう、「美しい」を通り越して「神々しい」と表現した方が適切だと感じました。レトリックを含むリップサービスではなく、そのような「雰囲気」を強烈に周囲に放っておりました。たぶん宗教的な何かが原因なのでは無いかと推測します。宗教的な・・か、どうかは判りませんが、佐藤万理さんもそれに近いような雰囲気を持っていたように記憶しております。

返信が遅くなりましたことをお許し下さい。

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